懐かしい家庭教師の思い出

私は学生の頃家庭教師をしていました。

教員免許の取得を目指していたので、バイト代ももらえて自分のためにも役立つと考えて家庭教師の派遣会社の試験を受け、登録をしました。

始めて受け持つことになったのは小学校四年生の女の子でした。

自宅から徒歩8分ほどの距離にその子の自宅はあり、こんな近所で家庭教師をする事になるなんて不思議な縁だなと感じながら初めて訊ねて行ったのを覚えています。

最初その女の子のおうちへ行ったとき、女の子はなかなか自分の部屋から出てきてくれませんでした。

お母さんの説明を聞くと、いじめによる不登校で3年生から小学校へ行けない事の方が多くなってしまい、新しい人に合うのが怖くてとても緊張しているのだという事でした。

教員免許取得のために、地域の子供会活動に携わるサークル活動をしたり、不登校の子供が通う通級支援などにボランティアで通ったりして学習支援も行っていたので、そういった子供さんに会うのは初めてではありませんでした。

そのような話をお母さんとして、まずは私に安心してもらい、一対一での関係を作っていく必要があるとの結論に至りました。

ちょうど一学期の終わりころにその女の子の担当になったので、夏休みは良い機会だと考えて勉強だけでなく一回一回少し遊びにつながるような事をしようと決めました。

夏休みの間は、親御さんは二人とも働いていらしたので、その女の子は家でいつもお留守番をしていました。

私は週に3回算数と国語を一時間半ずつ教えることになっていたのですが、時間を10時半からにして、二人でお弁当を食べる時間を一時間あいだに入れ、2時半まで一緒にいる事にしました。

最初は緊張していたその子も、お弁当の時間を挟むようになってからよくお話ししてくれるようになりました。

学校の話や不登校に関する話、お友達の話などは一切しないので私もあえて聞くような事はしませんでした。

親御さんはそのあたりも含めて気持ちを聞いて欲しいとの希望があったのですが、本人が嫌がる事を口にするのはせっかくうちとけてきてくれているのを無駄にしてしまう気がして出来ませんでした。

ただ、小学校などの学校には希望が見いだせないでいる事は伝わるものの、大きくなったらケーキ屋さんになりたいとか、美容師さんにもあこがれるとか、遠い将来の話は良くしてくれました。

好きなアイドルの話しや、どんな洋服が好きといったことも話してくれて、きっとその子にとってはお友達としたい話を私にしているんだろうと感じていました。

最初は一応時間通りに帰っていましたが、そのうちもう少しいて欲しいとか、一緒に少し出かけてみたい、とねだるようになったので、お母さんに聞いて見たところ、とても喜んで出来ればそうしてやって欲しいと言われました。

私もその当時は暇だったので、お勉強の時間が終わったらお友達ね、といって一緒にスーパーへアイスクリームを買いに行って公園で食べたり、川辺をお散歩したりしました。

お母さんの話では、自宅の周辺で同級生に会うのが嫌で外出は同級生のいないような時間しかしなくなっていたそうなのですが、私と普通に歩いている姿を見るととてもそんな風には思えないくらいリラックスしていました。

学校に行けない事や、自分が勉強が出来ないことでとても自信をなくしていたそうなのですが、元々賢い子だったようで理解が早く、漢字などの暗記も得意で、勉強を教える時に困りを感じる事はありませんでした。

算数で、図形や割り算など人まとめごとに、テスト形式のプリントを試しにさせてみると大体90点台を取っていました。

学校に行かなくても、勉強はちゃんとできるようになりたい、と夏休みの終わりには話してくれたことがとてもうれしくて、ちゃんとできているから、家で自分で学べる教材や環境を用意してもらえば大丈夫だよ、と話しました。

算数や国語は積み重ねの強化なので、社会や理科のように後で巻き返しを図るのが難しい教科です。

家でお勉強するコツややり方も教えて夏休みを終える事が出来て、重く責任を感じていた仕事でしたがほっとしました。

その後、私はその子が6年生になるまで家庭教師を続けました。

ちょうど私が大学4年生になり、その子が中学校になるタイミングで転勤のため引越していき、お別れになりましたがとても良い勉強になりました。

不登校の子供や、発達障害などで集団の場にいにくい子供が増えている今の社会では、家庭教師のように個別に子供に勉強を教える人が必要になってくると思います。

私のような学生のアルバイトではなく、児童心理や不登校にも詳しい専門家としての家庭教師の存在が望ましいと思います。

親の負担が大きいのは確かですが、不登校による不利益を少しでも減らす事ができるのではないかと思います。

集団に入る事が出来なくても、しっかりと勉強を教えてもらう場所がある世の中になって行って欲しいと願っています。

 

 

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